2018年2月21日に
新しい光免疫療法の論文がでました。
この記事は2018年2月現在の情報です。
光免疫療法の
限界を広げる技術を模索して
見事
内部光源を取り入れることで
従来よりも
光の暴露できる範囲を広げました。
この技術を使うと
今までよりも
多くの光をガン細胞に対して
暴露できるために
ガン細胞へのダメージを
広げることができます。
では
もう少し詳しくみていきましょう。
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光免疫療法の欠点
光免疫療法は
良い面ばかりが強調されていますが、
まだまだ
発展途上の技術だということを忘れてはいけません。
もちろん
問題点(限界)があります。
光免疫療法の問題点は
大きく2つです。
1
光の照射範囲が限られているために
内部深くのガン細胞まで届かない。
2
ガン特異抗体の種類が少ないために
現在はまだ限られたガン細胞種にしか
光免疫療法を使うことができない。
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今回の論文では
1番の問題点を克服するため
技術を改良しました。
2番目の問題に対しても
手をこまねいているわけではありません。
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新しい論文
光免疫療法を開発した
小林久隆さんがラストオーサーです。
ラストオーサーとは
その論文の責任を大部分
担うということです。
タイトルは
外部および内部光源の組合せ暴露による近赤外光免疫療法。
Near Infrared Photoimmunotherapy with Combined Exposure of External and Interstitial Light Sources.
doi:10.1021 / acs.molpharmaceutica。8b00002。
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組織内の光の浸透は深さ約2cmです。
円筒形の光ファイバーを用いた
内部光暴露で
この問題点を克服することができる可能性があります。
では
実際に
同程度の光エネルギーで
3種類の光暴露法を比較してみましょう。
1 外部暴露のみ、
2 内部暴露のみ
3 組み合わせ。
上皮増殖因子受容体(EGFR)陽性である
A431-luc異種移植片をマウスに静脈内投与し、
IRDye-700DX(pan-IR700)を
光吸収体と結合した
パニツムマブをマウスに静脈内投与しました。
要するに
光免疫療法のモデルを
マウスで作ったということです。
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1日後
および
2日後、
3つの方法のうちの1つを試しました。
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新発見(結果)
結果として
内部暴露のみ、
および
内部暴露と外部暴露との組み合わせで、
生物発光シグナル強度の最大低下を示しました。
さらに、
外部暴露と内部暴露の組み合わせは、
外部暴露単独と比較して、
有意に腫瘍サイズが減少しました。
さらにマウスはより長期まで生存しました。
以上の結果から
外部および内部光暴露の組み合わせが、
外部から照射された光線単独よりも
効果的であることを示唆されました。
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がん患者さんにおいても
外部および内部曝露の組み合わせを使うと、
組織表面から2cmを超える深さの腫瘍において
優れた治療効果をもたらす可能性が開けました。
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まとめとして
一歩づつですが、
技術を少しづつでも
改良することで
従来よりも
効果的な治療法に近づきます。
積み重ねは大きい。
技術面では
小さな一歩に過ぎないかもしれないが、
人類にとってもは大きな一歩である。
By Kunikazu
月面着陸と同じことが
先端技術の世界でもいえます。