アメリカNIHの
小林主任研究員率いる
研究室からの
光免疫療法に関する研究です。
光免疫療法の欠点を
改善するために
「抗体」に着目しました。
J Nucl Med. 2015;56(1):140-4.
doi: 10.2967/jnumed.114.149526.
Photoimmunotherapy targeting prostate-specific membrane antigen:
Are antibody fragments as effective as antibodies?
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光免疫療法とは
光免疫療法とは、
新たな
細胞選択的なガン治療法です。
特徴として
光増感剤・抗体複合体を
静注し、
近赤外線を照射します。
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光免疫療法のポイントは
光増感剤・抗体複合体の
くっつかない細胞は
ダメージがゼロです。
治療では
近赤外線を照射するのですが
この近赤外線自体も無害です。
つまり
光増感剤・抗体複合体の
くっついた細胞のみが
ダメージをうけ
死滅するわけです。
光免疫療法のすごさばかりを
報道する記事を
よくみかけますが、
光免疫療法には
もちろん欠点があります。
これまでは
「光照射の方法」を工夫していました。
今回は「抗体の改良」です。
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普通に
身体で作り出される抗体は、
比較的サイズが大きい(約150KDa)ため、
腫瘍実質内に
均一に浸透することができません。
光免疫療法では
できるだけ
ガン細胞と抗体との結合を多くすれば
それだけ
光を照射したときに
ガン細胞にダメージを与えることができます。
抗体サイズが大きいと
ガン治療の範囲を制限することになります。
もし
よりサイズを小さくした抗体
(ミニ抗体や二価抗体フラグメント)があれば
もっとがん組織内に浸透しやすく、
効果も高いかもしれません。
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そこで
今回の研究では
人工的に作り出した
小さな抗体を
従来の抗体と比較し
光免疫療法に使えるかどうかを検証しました。
大きさ的には
ミニ抗体やフラグメントは
通常の抗体の約半分の大きさです。
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方法
これまで通りに
IR700-通常抗体の複合体を用います。
比較として
IR700-ミニ抗体
および
IR700-二価の抗体フラグメントを評価します。
今回の研究のガン種は
前立腺がんです。
注射後6時間
ならびに24時間で
ガン細胞表面にどれだけ抗体を結合したかを
指標にしました。
また実際に
近赤外線を照射して
ガンを移植したマウスで調べました
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抗体を入れ替えた結果
細胞傷害性
および
マウスの生存曲線において
同じモル濃度の
ミニ抗体
および
二価の抗体フラグメント複合体は
これまでの
光免疫療法と同等の結果を示しました。
(P> 0.05)。
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まとめとして
本研究では、
前立腺がんを想定して実験を進めました。
光免疫療法として
小さい抗体を使えるかどうかが
今回のポイントです。
結果では
光免疫療法のこれまでの利点を損なうことなく、
ミニ抗体は使えるということです。
ミニ抗体を使えば
身体に静注する量は少なくて済み(半分量)
効果はこれまで通りということです。
実は
この研究では
これまで以上のガン細胞へのダメージ効果を
狙っていたのだと思いますが、
そこまで
うまくはいかなかったようです。
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今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
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