膀胱ガンで光免疫療法に使える抗体がでてきました

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アメリカのグループから
膀胱がんに対する光免疫療法
見据えた研究が報告されました。

この記事は2019年4月現在の情報です。

マウスレベルですが、
光免疫療法で使用する
新たな抗体の効果を検討しています。

統計的に
p値が0.01より
はるかに小さい有意差をもって
光免疫療法の有効性が確認されました。



膀胱がんで使われた抗体はなに?

今回、
膀胱がんで使われた抗体はCD47です。

CD47は
細胞の表面に発現している
タンパク質です。

ガン細胞、
特に
膀胱ガンでは
CD47の発現が
なぜだか
亢進しています。

この性質を利用して
CD47に対する抗体を
光感受体と結合し、
光免疫療法に応用したわけです

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抗原CD47とは?

CD47に関しては
通常の血管内皮細胞でも
発現しています。

一方、
動脈硬化になると
健常な動脈と比べて発現が上がっています。

CD47-blocking antibodies restore phagocytosis
and prevent atherosclerosis.
Nature. 2016;536(7614):86-90.

また
CD47は
身体で
壊れた細胞を除去する
大切な役割を果たしています。

CD47があると
細胞(マクロファージ)の
貪食作用をストップするのです。

「don’t eat me(私を食べるな)」シグナルと呼ばれています。

つまり
今回
光免疫療法で使われた
CD47抗体も
マクロファージのCD47に
結合している可能性が十分にあります。

CD47抗体がCD47抗原に結合すると
「don’t eat me(私を食べるな)」シグナルが
働かなくなり
「eat me(私を食べて)」シグナル
となります。

簡単にいうと
貪食作用が亢進します。



CD47はチェックポイント阻害との共通点

この機序は
チェックポイント阻害剤の機序と
よく似ています。

チェックポイント阻害では
PD1とPD-L1で、
「?」と「CD47」が相当します。

「?」は
まだ同定されていないか
私の調べ不足です。

追記

「?」は
SIRPalphaという分子らしいです。
まだ調べ中です。

どちらにせよ
CD47をブロックすることで
マクロファージの貪食作用が
再び戻るので
免疫系を活性化する
重要な助っ人になります。

4年ほど前ですが、
実際に
CD47抗体で
CD47が遮断され
抗腫瘍作用が引き起こされる
ことが
報告されました。

面白いことに
この抗がん作用を示した主役は
マクロファージではなく、
別の免疫細胞、
T細胞と樹状細胞らしいです。

身体は奥深いです。

CD47 blockade as another immune checkpoint therapy for cancer.
Nat Med. 2015 (10):1122-3.
doi: 10.1038/nm.3965.



今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

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