近赤外線光免疫療法は、
抗体 – 光吸収体複合体と
近赤外線光線を使った
新しいタイプのガン治療法です。
久しぶりに
新しい研究報告が発表されました。
Oncotarget.8(68):113194-113201 2017.
doi: 10.18632/oncotarget.20179. eCollection
この技術でもちいる近赤外光が
皮膚の結合組織に吸収されると、
ある程度の熱が
局部的に
発生することが知られています。
そして
ガン撃退効果を高めようとして
近赤外光の曝露を必要以上に行うと
非特異的に
「やけど」を
引き起こしてしまう可能性があります。
解決可能?
もちろんできました。
では
どんなふうにして
解決したのでしょうか?
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光免疫療法の現状
「近赤外線光免疫療法」は
2018年3月頃に
日本でも臨床試験が
始まることが報告されました。
現在はまだ
頭頸部癌にしか試されていませんが
その効果は
従来の抗ガン治療を
はるかにしのぎます。
しかし
効果にばかり目を奪われてはいけません。
光免疫療法にも欠点があります。
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今回の最新研究報告では
「温度」に着目しています。
光免疫療法による「やけど」
実は
近赤外線光免疫療法によって
ある程度、
皮膚の温度が上昇します。
つまり
やけどの危険があります。
では
1 実際に皮膚の温度変化がするのか?
する場合には
2 どの程度まで温度は上昇するのか
ということは
これまで測定されていません。
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そこで
この新しい研究では
ガンをうえつけた
(免疫不全)マウスの皮膚を用いて
組織内の温度変化を測定しました。
結果として
マウス腫瘍モデルにおいて、
2つの光源、
レーザー
および
発光ダイオード(LED)を比較した結果、
光源はレーザー光源か
LEDかにかかわらず、
皮膚が急速に加熱されることがわかりました。
その温度は約50度です。
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この上昇を抑えるため
どのような方法を用いたのでしょうか?
皮膚表面の空気を冷やすための装置を
使うとよいことがわかりました。
クーラーを使うと
温度は40度程度に下がりました。
なーんだ!
というぐらい簡単なことですが、
こういう一つ一つの
欠点を解決していくことが
大切なんですねー。
もう一つ大切なこととして
皮膚温度の上昇と
治療された腫瘍の腫瘍体積には
まったく関係がありませんでした。
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そこで次に、
様々な光量を暴露して
皮膚への熱的損傷の程度を調べました。
近赤外光が600 mW / cm 2より
高い出力密度であった場合には、
光免疫療法の1日後に
「やけど」がでてきました。
この場合には
どうやって解決したのでしょうか?
光曝露の持続時間を延長して、
より低い出力密度で治療をすれば
よいことがわかりました。
なーんだ!
だれでも思いつくやないか!
と思うでしょうけど、
こういう些細な現象にまで
気を配っているというのが
技術の信頼性につながる
じゃないですか。
でしょ?
(^-^)
結論として、
今回の新しい研究では、
近赤外線を利用した
光免疫療法による「やけど」について
実際に温度を測定しました。
そして
約50度近くにまで
達することがわかりました。
解決方法として
冷却システムを使用するか、
または
光源の出力密度を低下させること
(全エネルギーが一定であるように曝露時間を延長する)で
「やけど」を回避できることがわかりました。
約40度ていどで収まりました。
つまり
近赤外線光免疫療法による「やけど」は
解決できるため
心配ないということです。
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今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
みそしる一押しお願いします。
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